気づいたのが明らかに遅すぎたんだ。
倒れてる人がいっぱいいる。
もっと早く来てたら、ちょっとは救える人がいたかもしれないのに。
奥に進んでいけば、何やら声がする。
言ってる言葉まではわからないけど、高い声。
嫌な……予感。
たどり着いた先にあったのは、扉で。
その扉の向こう側に人がいるらしい。
ここまで来たら、逃げるわけにはいかないよね。
勢いよく扉を開けて中に入ると、真っ先に目に入った女の人の後ろ姿。
「あら、遅かったじゃないの子猫ちゃん」
「……春海」
振り返ったその人。
手には、何か光るものを持っていた。
アクセサリー、かな?
「私、ずっとこれを返してほしかったのよ。
以前紅が負けた時に、紫に奪われてしまったから」
怪訝な顔をしているであろう、これはあたしへの春海からの解説だ。
「これは昔から、紅に受け継がれているもの。
返してもらえたから、もう紫には用事はないわ」
それだけ言って笑ってみせると、今度はあたしにその先が見えるように春海が動いた。
春海のいる、もっとずっと向こう。
倒れている人が2人。
「あなた、敵を好きになるなんて相当バカよ」


