涙を堪えて抱きしめられたまま見た先に、歪んで人影が数人分………
って、はい!?
「風音、チャリだからって飛ばしすぎだっての…はぁー‥死にそう」
奏斗………。
「てめーらな、少しは頭使って動くってことを知らねーのかよ。
どいつもこいつも突っ走りやがって」
寿羅………。
みんな、追いかけてきてくれたの?
「ゆゆ1人じゃ、心配でしょ?」
距離を開けてウインクをする風音。
なんだ……あたし、1人じゃなかったんだ。
予想外の安心感に、全身の力が抜けて座り込む。
「わわわっ、ゆゆ大丈夫?
どこか痛いの?」
慌てふためく風音を横目に、そういえばと周囲へ向ける視線。
「ゆずゆちゃん……奥で、亜蓮が…なっちも一緒に……」
さっきの女の人が、相変わらず苦しそうに訴えかけてくる。
「風音、この人のことお願い」
「うん、牡丹先輩が来ればすぐ手当てできると思うよ。
それまではボクたちに任せて」
「あたし、奥のほう見てくるね」
風音の言葉を聞いて、再び立ち上がり足を踏み出す。
やっぱり、立ち止まれなかった。
まだ、立ち止まれない。


