そこまで言って、電話を切る。
開いたメールの地図を見つめ直すと、必死で息を整えながら先を急いだ。
方向音痴じゃなくて良かった。
頭は悪くても、運動ができて良かった。
その分、早くキミに会えるでしょ?
凪兎を想えば、こんな全力疾走くらいへっちゃらなんだから。
日が落ちてきて足がもつれてきた頃、ようやく見えた目的地。
下手したら、明日にでも取り壊されてしまいそうな廃れた建物。
足を止めて膝に両手をつく暇なんてない。
ひたすら前に進むしか、今のあたしに選択肢はない。
入り込んだその場所は、以外と広くて。
足音が気持ち悪いくらいに響いた。
「…だ…れ……?」
近くから小さな声がして、警戒して周囲を見回す。
と、倒れた女の人が、苦しそうにこちらを見上げていた。
「大丈夫ですか!?」
びっくりして、すぐにそばまで駆け寄る。
「あんた…亜蓮の……」
「え?」
あいつの名前。
それで気づいたの。
この人、前に亜蓮と会った時に一緒にいた女の人だ。
「みんな……やられちまって……」
「もう喋らなくて大丈夫ですから。
無理しないでください」


