地図を頼りに、ひたすら走って走って走って。
ケータイを握りしめた片手に、ぎゅっと力がこもる。
今日だったなんて。
もっと早く黎緒先輩の言葉に気づいていれば、事前にどうにかできたはずなのに。
闇紫苑の人たちを、助けられたかもしれないのに。
凪兎───。
真っ先に浮かんだ人へと、メールを閉じて電話をかける。
お願いだから、出て。
お願いだから、無事でいて。
願うことなんて、いくつでも簡単に出てくるのに。
ケータイからは相手の声より先に、留守電を促す音声。
息を切らしながら、届けたくて喋った。
いつか聞いてもらえる時が来るのなら、留守電だっていい。
「凪兎……次はあたしから電話するって…っ約束、したでしょ?」
指切りまでしたんだよ。
覚えてる?
「だからっ、あたしは凪兎を──闇紫苑を助けに行くから……待ってて」
いつも助けられてばっかだから、たまには逆だっていいよね?
「今行くから、待ってて」
絶対、助けるから。


