あーもう、先輩、待ってってば。
歩幅の違いをもっと理解してください。
「せんぱ───」
小走りになりながら呼び止めようとした瞬間。
あれ?消えた?
先輩の姿が見えなくなってしまった。
ま.まさか、神隠し!?
いや、ここ学校だし、そんなはずは……
学校じゃなくても非現実的すぎるし。
腕を組んでさらに進むと、すごく高い音が耳に飛び込む。
音に反応して左右を見れば、どうやら開きっぱなしになった扉の向こう側かららしい。
いきなり高い音聞こえてくるとか、びっくりだよ。
この音階を作り出してるのって、黎緒先輩?
あたしの視線の先には音楽室。
きっとこの音、ピアノだ。
ちょっとだけ不安を募らせて、のっそり教室を覗き込むと予想通り。
「あとで遊んであげるって約束、果たしてあげるからおいで」
ピアノの前に座って、優しく手招きする黎緒先輩がいた。


