春海の言葉が何を意味してるのか、そんなこと理解してる。

闇紫苑を助けようとしたところで、黒蓮華とは交われないし。

あたしはきっと、無駄なことをしようとしてるんだ。



それでも、守りたいと思うのはいけないこと?



「闇紫苑を倒す?
笑わせんなよ」

俯きかけたあたしの顔を、また上にあげさせたのは知っている声だった。


走ってきたのか、両手を両膝について肩を上下させてる。


「せっかく来たのに、もう守られてんの?
あんたって、ホント復活早いな」


あたしと寿羅に送られる視線。


「涙……」

ううん、違う。


「凪兎!」

やっと、呼ぶことができた名前。

今にも駆け寄りたいくらい、気持ちがいっぱいになるのに。



「どうしてかしらね?
あなたたちが知り合いなんて、裏がありそうだけど」

それを邪魔するように、春海は方向を変えて凪兎に近づいた。

探るように、あたしと凪兎を交互に見る。



「もしかして仲良しなの?
それとも、騙してるのかしら?」

嫌な胸騒ぎ。

春海は何かを知っている?


「可哀想ね、無知なんて」

可哀想……それはきっと、あたしに向けられた言葉。



「あなたは承知の上でしょうけど、ねぇ涙?」