悩んで、じっとしていられなくて。
やっぱり、逃げたい。
気持ちが早まると、勝手に窓へと向かっていた足。
風はこんなに気持ちいいのに。
空はこんなに広いのに。
羽根を持てない人間は、すごく損をしてると思う。
ここから飛んでいけたら、どんなに幸せだろう。
……なんて、こんなのあたしらしくない。
やめ、やめ。
考えたって、どうにもならないんだから。
ブンブン首を振って、頬を両手でパチンと叩く。
それからまた、空を見上げようとした時
「蘭、そのまま落ちろ」
小さな声が、真下から聞こえてきた。
びっくりして身を乗り出す。
…って、え?
「寿羅!?
こんなとこで何やってんの」
「なっ、バカか、てめー!
デカい声出してんじゃねーよ!」
思わず見下ろして見えた姿に、叫んでしまった。
そして、注意している本人も叫ぶ。
注意の意味ないじゃん、それ。
「しかも今、落ちろとか言ったよね!?
死ねって言ってんの、最低」
「うっせーよ!
逃げ道がここしかねーんだから、落ちるしかねーだろ」


