納得いかないことばかり。
ベッドのすぐ横に置かれた鞄を拾い上げて、中身をあさる。
教科書やらノートやらは、最後に見た時と同じ並びのまま。
窓の外は明るい。
意識が別の場所にある間に、一晩が過ぎて行ったんだろうか。
ケータイを開いて見ると、予想通り日付は繰り越されて。
リダイヤルを確認すれば、未登録の番号が新しく表示されている。
ずっと繋ぎっぱなしだったんだ。
昨日から、さっき電話を切るまで。
切らずに待っていてくれたキミは、どうしてそんなに優しいの?
どうして……本当の名前を教えてくれなかったんだろう。
まだ知らないことが多いけど、もうすぐ解かれるような気もする。
【今日で終わり。あんたには、もう俺は必要ない】
だけど、それは嬉しいことじゃないような気もしてる。
ケータイを握りしめて、鞄を肩にかけて。
学校、行かなきゃ。
家にも帰らないと、親が心配してるよね。
掛け時計も、もうすぐ正午を指し示しそうだ。
さて、どうやって、どこから逃げよう。
黎緒先輩が言った通り、窓から逃げるのがいいのかな。
部屋を出れば、誰かと鉢合わせするかもしれない。
かといって、窓からって……高さを考えたら、飛び降りるわけにもいかないし。


