ねぇ、誰なの?
『大丈夫、絶対大丈夫』
大丈夫………。
繰り返し言われる、まるで呪文。
目を閉じて、導かれるようにその声だけを耳にする。
大丈夫、大丈夫………。
もう少しで思い出せそうなの。
『嘘、ついてごめん』
もう少しで、あなたの名前を呼べるのに。
「涙………」
違うよ、ねぇそうでしょ。
こんなに心が落ち着くの。
あたしがあなたに電話したのは、深い意味がなかったからじゃない。
着信履歴からかけたの。
最後にあたしがケータイで話したのは、キミだった。
どうしてだろう。
話してると、どんどん心の中が温かくなってくる。
あぁ、そっか。
この人は、きっと
「ねぇ、涙」
あたしの……大切な、人。
会う度にドキドキして、不思議な気持ちになっていた。
声を聞くだけで、安心した。
何も知らないから、もっと知りたいと思った。
そう、それはいつからか忘れかけていた感情。
あたしは、ずっと独りだと思ってたけど違ってた。
思い出せるよ。
だんだん、暗かった世界に光が差し込んで。


