「え?」
『誰も、思ってもいないこと言わないと思うよ』
いつ、誰に、言われたの?
『自分で思い込んでるだけだろ』
本当に、そうなの?
思い込んでる……だけ?
ケータイを握りしめる手に、力が入って。
思い込んでるだけだと信じたいのに、信じたらいけない気がしてる。
「でも、みんなは近くにいてくれないよ」
今だって、誰もこの部屋にはいてくれない。
誰も、隣にいてくれないの。
穏やかに髪を揺らす風さえも、あたしをここから追い出そうとしてる。
頼るところも、泣き場所も、すべて失っちゃったんだよ。
『見えないだけで、誰かは近くにいる。
だから、絶対大丈夫』
「嘘だ」
『違うよ、本気』
だけど、
「そんなこと、言わないで。
どうして嘘つくの、あたしで遊んでるの?」
この声……この言葉………
「ねぇ、どうして黙るの?
やっぱり、あたしのことからかって───」
『からかってないよ』
どこか懐かしい気がするのは、きっと間違いじゃない。
『でも、嘘はついた。
今も、ずっと』
あたしを乱しては落ち着かせる、あなたは……誰?


