よく覚えてないの。
気づいたら、この部屋にいたから。
開いた窓から、柔らかな風が入り込む。
桃色を基調にした可愛い部屋。
目が覚めたら、この部屋のベッドの上にいた。
記憶が曖昧すぎて、はっきり思い出せない。
あたしは、どうしてここにいるんだろう。
ベッドに座ったまま、ため息をつくのに俯いて。
カチカチと秒針の音がする掛け時計を見上げる。
また視線をベッドへ落とす途中、枕の横に投げられたままの機械に目が止まった。
あたしのケータイ。
開いたまま、放置されてる。
あたしは、本当に発信ボタンを押せていたのかな?
何気なく手に取って見ると、おかしなことに電話は誰かと繋がっていた。
名前は表示されていない。
あたしは、知らない番号に電話をかけていたの?
ケータイを耳に当て、目を閉じる。
聞こえてくる音は、ガタガタといった雑音に近いもの。
「もしもし───」
無意識に、相手が応答してくれるのを求めていた。
「もしもし、あの、聞こえてますか?」


