そうなはずなのに……何かが違う気もしてる。
もやもやとした感情が、まだ心の奥に残ってて。
この気持ちは、なに?
すごく大切な人、忘れてる気がするの。
ほら、いたじゃん。
すごく、大切な人。
助けてくれた、倉庫で。
泣き場所をくれた、道路で。
一緒にいてくれた、傘の下で。
【けっこう好きだしね】
─え?
【あんたみたいな人】
─な.なに急に。からかってんの?
【違うよ、本気】
─あはは…もう、ヤダなぁ。あたしのこと、からかって面白いとか思ってるんでしょ
【からかってたら、そんなこと言わない】
─嘘……
【嘘じゃないって。あんたの性格、嫌いじゃないし】
ねぇ、思い出せないよ。
助けてほしいのに。
電話をかけようとしても、助けてくれる人なんていないから。
すぐに発信ボタンを押せなかった。
けど………
より霧かがった虚ろの悪夢へ、苦しみで満たされた場所へ堕ちていく。
あたしは倒れる瞬間、残った意志で握りしめたケータイのボタンを押したような………
そんな気がした───‥


