あたしは、自分の頬を濡らす雫を手のひらで拭ってから風音へと歩み寄った。
風音がいるのは外。
ここは渡り廊下の真ん中で、あたしは上履きのまま。
靴を履き替えなきゃいけないとかそんな規則、知らない。
気づいた時には、勝手に体が動いていた。
「風音?」
呼びかけると、真っ直ぐにあたしを見つめる。
だけど、泣いていることは変わらない。
そんな顔、しないでよ。
見たくないの。
誰かが泣いてる姿なんて、見たくないのに。
あたしは、本当にバカで。
無神経で、最低で、最悪だ。
涙を拭おうと、風音の頬へ伸ばした手。
目的を果たす前に、パチンと音を立てて宙を舞う。
あたしの手を振り払ったのは、他でもない目の前の人。
「触らないで。
ゆゆは……ボクのことなんか嫌いなんでしょ?
どうして優しくするの?」
「何言って───」
「どうして、ボクだけ見てくれないの?」
訴える瞳が揺れ動く。
なんて返事すべきなんだろう。
あたしは風音のこと、嫌いなんて思ったことない。
それを素直に言えばいいの?
「ゆゆは……何もわかってない」


