奏斗とケンカして寂しかった。
教室で避け合うのも、放課後会えないのも、一緒に帰れないのも嫌。
風音と話せなくて寂しかった。
いつも飛びついてくるのに、当たり前であった日常が今は手元にない。
黎緒先輩がもし、万一紅珠沙と関わりを持っているのなら
「独りぼっちに……なりたくないよ」
“仲間”と呼べる存在じゃ、なくなるかもしれない。
寿羅と牡丹がいてくれるけど、奥底では怖くてどうしようもなかったんだ。
裏切りなんて、ないと思ってた。
別れなんて、来ないと思ってた。
そんなのは上辺だけの感情で、本心ではそんな願いが叶わないことくらい………
亜蓮と別れた時に、理解したはずなのに。
願わずにはいられない。
「………箕笙、」
ずっと強張っていた寿羅が、力を抜いたと思ったら
「へ?」
声に連られて見上げた時、見えた表情。
決していいものではないことくらい、声の調子からもわかったけど。
入れていた腕の力を緩め、ゆっくり寿羅の見ているほうへ身体ごと方向転換。
息を呑むばかりで、すぐ声にはならなかった。
一呼吸置いて、できたのは名前を呼ぶこと。
「風音………」
数歩離れた先に、斜め下を向いたまま立っている。
瞳からポロポロ零れるのは、確かに涙で。


