夢であってほしい。
悪夢だ、これは悪夢なんだ。
唱え続けてみるけど、さっきの光景が全然頭から離れない。
むしろ、鮮明に脳裏に焼き付いてる。
バタバタと足音を立てまくって逃げたから、バレてるのは確実で。
うぁぁああああ、もうっ、どうすればいいの!?
黎緒先輩が、なんで春海と………
「ぎゃぁあああああ」
思い出したくない!
あわわわわ、泣きたいよ。
「何があった!?
奇声なんかあげやがって」
無理矢理に引きずってきた寿羅。
事の説明をしなければ、と思いつつ簡単には言い出せない。
「見ちゃったの…!」
「見たって、何を」
混乱して騒ぐあたしの異常さを察してか、心配してくれてるのがわかる。
「言ってみろ、聞いてやるから」
両肩を掴まれ、問いただされても。
パニックを起こした、ただでさえ不良な脳みそでどう答えろと?
唇だけ無駄に動いて、肝心な言葉が出てこない。
「とりあえず落ち着け、大丈夫だから」
不器用に、子供を相手にするみたいに慰められて。
本当に何が何だか、ぐちゃぐちゃだよ。
訳がわかんない。


