身動きできない。
隙間から見える光景に、頭が真っ白になっちゃったの。
黎緒先輩がいた。
でも、黎緒先輩だけじゃなかった。
なんで、ここにいるの?
それに、何してるの?
固まるあたしをよそに、何事かと寿羅は扉を開けようとする。
「…っダメ」
反射的に小さい声で言って、伸びてきた腕を阻んだ。
今開けたら、ダメ。
隙間から覗かせるのは、ずっとずっと続くキスの連鎖。
何度も啄むように交わされる。
しかも、黎緒先輩とキスしてる相手はこの学校の人じゃない。
あたし知ってるよ、その女の人。
誘拐されたこと、あるもん。
敵同士のはずなのに。
紅珠沙の人間が、なんでいるの?
おかしいよ、ここ学校だよ?
ねぇ…そうでしょ、春海。
黎緒先輩、どうして………?
「蘭?」
凍ってるあたしを不思議に思ったのか、寿羅が再び名前を呼んだ時だった。
なっ………
閉じていた目を、うっすらと開けた黎緒先輩と絡んだ視線。
ヤバすぎる、見ちゃったの完璧バレたよね!?
「こ.こっち来て」
慌てて、寿羅の腕を引っ張って廊下を全力で逆走。


