部室が近づくにつれて、会話の数は減っていく。
深い意味はないと思うけど、口を開くのが躊躇われたから。
いつの間にか、寿羅はあたしから数歩下がったところを歩いていた。
目的地に着いて、寿羅が一緒にいてくれることを確認する。
振り返って見たけど、視線はこっちじゃなくて窓の外に向けられていて。
それをたどると、植物に水をあげている園芸部の人たち。
花壇には、綺麗に並んだ黄色や白色のパンジー。
風音………。
コンクリートの上に丸まって座ってる男の子。
声をかけたい気持ちはあっても、何を言えばいいのか………。
切なさや悔しさから目を背けるように、あたしは部室の扉の前で立ち止まる。
そっと開けようと扉に指が触れた時、気づいた隙間。
おかしいな。
いつもは、ピチッと閉まってるのに。
中途半端に開いた扉は、すごく不自然で。
息を浅くして手を引っ込めながら、何気なく部室の中を垣間見た。
別に、誰もいな──‥いや、黎緒先輩が。
「蘭?」
目を細めて角度を変える。
すぐそばの声に、返事をすることも忘れて。
「何やってんだよ……おい」
ねぇ、寿羅。
どうしよう。


