あのさ、牡丹?
これから、あたしたちにどうしろと?
まるで教室が眠っているかの如く、じっと静かな空間。
寿羅と2人とか、何かおかしく感じちゃうよ。
この気まずさから、すんごく逃げたい。
「あたし、部室行ってくるね」
ぎこちない笑みをつくり、椅子からのっそりと立ち上がる。
部室に行けば、恐らく黎緒先輩がいるだろう。
それはそれで、また気まずいものがあるけど。
寿羅と2人きりよりマシな気がするの。
それに、本当に彼女がいるのか確かめたいという好奇心が勝る。
「おい、待て」
もうすぐ廊下、そんな時だった。
「な.なに?」
背後からの呼び止めに、行動を一時停止。
思いっきり愛想笑いをしつつも振り返ってみると
「俺も行く」
目も合わせずに、寿羅が近寄ってきた。
「あぁ、そう」
受け答えはそれだけ。
「なんでてめー、手と足一緒に出してんだよ」
へ?
「嘘、マジで……?」
指摘を受け、ついでに鼻で笑われ。
「ちょっと、緊張しただけだし」
誤魔化しきれない自分の発言に、妙な気分。


