瞬間的に触れた肩や腕やらに、変に緊張しちゃう。
だからと言って離れれば、雨に打たれることになるし。
そんなことを考えて、ふと上を見上げた時。
傘があたし側へと傾けられていることに、初めて気づいた。
まさかと思って凪兎を見ると
「ん、なに?」
不思議そうにして、こっちを向く。
だけど質問には答えずに、彼の服を掴んで立ち止まらせた。
と、今度は肩へと伸ばした手。
「ごめんね」
まず告げたのは謝罪で。
「ちゃんと半分こしよ?」
傘を持つ凪兎の手を握って、少し手前に遠ざける。
あたしを庇って傘を傾けていたから、片方の肩が濡れていて。
送ってもらうだけでも、傘を差してくれてるだけでも申し訳ないのに。
これじゃ、凪兎が風邪引いちゃうじゃん。
甘えっぱなしの自分に嫌気がさして、喋れなくなってしまう。
「あんたって、【ごめん】ばっかだよね」
困ったように笑うから、余計言葉が出てこない。
「謝るのやめない?
ありがとうでいいじゃん」
あぁ、何でだろう。
優しくされればされるほど、苦しくなる。
あたしの周りにいる人たちは、みんな笑って話してくれるの。
どうして、そんなに優しいんだろう。


