『おいっ、ゆゆ!?
オレの美声聞こえてる!?』
呆れて黙っていると、自ら【美声】だとか言い出したから尚更答える気がなくなった。
人の心配するなら、自分のアピールは禁止してくれ頼むから。
かといって、答えないままでいるわけにもいかず。
「はいはい、聞こえて───」
「ゆゆは無事だよ。
これからボクとお風呂だから、邪魔しないでね」
「ちょっと風音!?」
返事の途中ですっとケータイを奪われ、嘘の塊を告げられる。
直後、通話が途絶えた状態で返されたケータイ。
だんだん面倒な方向へと、事が進んでいる気がするのはなぜ?
目が合うと、風音はペロッと舌を出して笑ってみせた。
思わずつられて笑ったあたしの頬は、素直に引きつっていたに違いない。
「じゃあ嘘にならないように、お風呂入ろっか」
「えっ!?」
ぐいぐい腕を引っ張られ、引きずられるように移動する。
何かおかしい。
すごくおかしい。
この場合の嘘は、そのまま嘘であるべきじゃないの?
「まだ夕方だし、お風呂は今じゃなくても」
誰か助けて。


