「そういえば、私を誘拐したのはあなたでしたっけ?」
しかも牡丹、直球すぎる質問。
「誘拐?」
そんで首を傾げる愛美ちゃん。
ひょっとして誘拐したこと忘れてる?
「ちょっと待って。
今何か思い出せそうなの」
眉間にシワを寄せて、必死に考え込んでいる。
「うん、そう、確かに私は牡丹ちゃんを誘拐したよね」
思い出してきたのか、少しずつ事実が語られて。
「牡丹ちゃんがすごく憎くて、いなくなればいいって思ってた。
ん?でもなんで?
どうして憎かったんだろ?」
再び考え込む様子に、あたしは疑問を抱いた。
だって、おかしいでしょ?
愛美ちゃんはルイって人が牡丹を好きだから、牡丹が邪魔だって言ってたもん。
普通は自分で言ったこと、すぐに忘れちゃったりしないよね?
恋愛絡みなら尚更。
「あ、そうだ!
数日前に変な人に会ったの。
その人が牡丹ちゃんを殺せば、ルイが私を好きになるって」
牡丹を殺せば?
好きになる?
「最初は気にしてなかったのに、考えてるうちに牡丹ちゃんが憎くなって……殺したくなって」
愛美ちゃんの瞳に、わずかに涙が溜まっていくのが見えた。
「間違ってることに、その時なぜか気づけなくてね。
………その後のこと、よく覚えてないの」


