「困りましたね」
でも、ため息を零したのもわずかな時間で。
「珠里亜、早く戻りなさい」
襖の向こう側から、少しかれた声が聞こえる。
「あ、いけない。
怒られちゃうわ」
すると、それは耳に届いたらしいお母様が慌てて敷居をまたいだ。
「すぐ戻りますー」
大きい声で告げると、こっちを振り返って
「ゆずちゃん、今日は泊まっていってねー」
とびっきりの笑顔を振りまいて去って行く。
お泊まりのお誘いいただいても。
「おばあちゃんが呼んでくれなかったら、どうなっていたことか。
本当にすみません」
牡丹、大変だね。
てか、さっきの声はおばあちゃんだったのか。
救世主だな。
「美味かったー!」
奏斗はもう満足して、寝っ転がってるし。
その隣で寿羅はお茶すすってるし。
嵐が去って、どっと疲れた……眠い。
牡丹のお母様は憧れの人なんだけどな。
あの明るさには、どうやっても適わない。
やっとくつろいで欠伸をしていると、突如やってくる次の嵐。
「私、なんでここにいるんだっけ!?」
愛美ちゃん、忘れてました。
あなたもテンション高いんでした。


