莫大な広さの敷地に建てられていて
「どうぞこちらです」
庭には池や鹿威しが設置されている。
各部屋には花瓶に美しい花が生けられ、壁には様々な掛け軸が見られた。
通された畳の部屋に着くまでに、いったい何度感動したことか。
あぁ、風流だ。
「蘭?アホ面になってるぞ」
「寿羅こそ、口が開いてマヌケ面になってますけど?」
「なってねーよ!
ちょっと黙っとけ」
なっ……最初に言い出したのはそっちでしょーが。
本当ムカつくヤツ。
「私、お茶を淹れてきますね。
自由にくつろいでいてください」
そうこうしているうちに、牡丹が部屋を立ち去って。
「牡丹の家来ると和菓子食えるから最高だよな」
呑気に奏斗が仰向けになる。
てめぇは和菓子狙いか。
テンション上がってた時点で、なんとなく予想できたけど。
以前のお小遣いの話といい、考えが小学生レベルだぞ。
「ん……う…」
呆れて黙っていると、もぞもぞと動く音と一緒に聞こえた声。
「おはよう」
黎緒先輩の優しい声色に反応して視線をずらせば、寝返りをうった女の子が少し目を開いていて。


