寝言っすか?
虫は禁句って。
「むむむむむむ.虫ですかぁぁあああ!?」
風音に視線を向けていると、突然悲鳴じみた大声が耳に届く。
「牡丹暴れんな、落ちるっての」
慌てた奏斗は、その場にしゃがんで。
禁句って、そういうことね。
「虫が、虫がっ」
牡丹が泣き崩れてる。
しょうがないな、まったく。
「ぼーたーん、目を覚まして、ほら」
風音を引き連れ牡丹のそばへ。
頬を両手で包み、顔をあげさせた。
「ゆずゆちゃん……うぅっ」
「そんなに怖いんなら殺虫剤でも買いに行く?」
涙を拭ってあげながら尋ねると、牡丹は首を横に振る。
「大丈夫です。
もし遭遇したら、打ち抜きます」
………え?どうやって?
まさか街中で弓矢飛ばす気じゃないよね?
「なぁ牡丹歩けるか?
歩けるなら、オレが風音運んでやってもいいけど」
「歩けるってさ!ね?牡丹。
ってことだから奏斗、風音を頼む」
あたしの心の中に生じた疑問の答えはもらえず。
だけど、まぁいいとする。
「えぇ、歩けますけど……ゆずゆちゃん、ずいぶん強引ですね」


