まだ何も言ってない、とか文句が飛んでくるけど気のせいだ。
うん、気のせい気のせい。
小鳥のさえずりか何かでしょ。
「はい、バトンタッチ。
ほらほら早く」
寿羅の腕を引っ張ってブンブン振る。
「放せっ、触んな」
「うわ、失礼しちゃう」
あたしは、ばい菌扱いか!
ばい菌扱いとか、いつの日かの奏斗と同等じゃないか。
そういうこと言うから黎緒先輩の餌食になるんだよ。
もう少しこう、優しさってものがないのかね。
「おいゆゆ、そんなに騒いだら風音が起きてぐずるんじゃねー?」
小さい遠慮がちな声で、奏斗の推量且つ注意が入る。
「あたし騒いでないもん」
声が元から大きいのは、仕方ないし。
「どっちかっていうと原因は松永くんかな?」
「ふざけんじゃねー、俺がいつ騒いだって!?」
「今とか。
虫があちこち飛んでるくらいには、うるさいと思うよ」
そのうるささをグレードアップさせてるのは他でもない、黎緒先輩あなたなんですが。
ちらっと横を確認すると、あたしの肩に頭を乗せた風音の長い睫毛が揺れた。
「虫は…禁句……」


