走って追いかければ、まだ間に合ったけど。
「ゆゆどこぉーっ」
近づく風音の声があまりにも震えていたから、この場から動けなかった。
「風音、ここにいるよ」
返事をすると
「ゆゆっ」
また呼ばれる。
声の響き具合から、もうすぐそこまで来ているとわかった。
「風音っ」
再び呼び返せば、足音と足音の間隔が狭くなっていく。
いや、何やらおかしいぞ。
足音の数が増えたみたい。
「かざ…ね…?」
他に誰かいるの?
不安になった途端、背後からバタバタと走って来る人の気配。
「ゆゆ会いたかったぜー!!」
「うわっ、離れ…って奏斗!?」
ちょっと待て、風音はいったいどこへ?
なぜ、おまえがいる?
しかも、このタイミングで。
「ゆゆっ、会いたかっ───‥……奏斗、何してるの」
物陰から目をウルウルさせながら走って来た風音。
あたしに抱きつく奏斗を見て、目の輝きがだんだん失われる。
「1番最初にゆゆを抱きしめるのはボクのはずなのに」
あの、風音さん、不穏なオーラがバリバリ漂ってますけど?
誰か、助けてください。
とゆーか牡丹を放置しないであげてください。


