刻印だった。
あたしたちは、みんながどこに蓮花を刻んだのか知らない。
今までずっと気づかなかったけど
「牡丹っ」
牡丹はその華を、首に刻んでいたんだ。
「大丈夫!?
今解くからね」
慌てて近寄って、牡丹の腕を縛っていた紐を解こうとする。
「あーもう、何なの」
けど、なかなか解くことができない。
それを見かねたのか、凪兎があたしの隣に来てしゃがんだ。
「ちょっといい?」
そう断ってから、牡丹の腕を取る。
そして、ムカつくほど器用に紐を解いてく。
綺麗な長い指……。
ますます嫌味なヤツだな。
左腕には赤地に白のラインが入ったリストバンド。
珍しいな。
運動でもしてんのかな?
それともオシャレ?
うぅっ、なんかオシャレって単語と一緒に奏斗のバカみたいな笑顔思い出しちゃった。
「よし、できた」
見事に紐を解き終えて、ため息をつきながら立ち上がる凪兎。
そんな彼を、ただただ見つめて。
「ん?なに?
あ、一目惚れとかやめてよー?
俺そういうの苦手なんだ」
「違っ…てか、そういうのって?」
あたしも立ち上がって、聞き返す。


