どうやら案を思いついたらしい。
牡丹はあたしと反対側の寿羅の隣へ。
「ん、…なっ、てめー何しやがる!」
次の瞬間、あきらめて黙っていた寿羅が突然騒ぎ出した。
「私が代わります」
ニコッと笑った牡丹は、寿羅の腕に自分の腕を絡めて。
反抗する寿羅をもねじ伏せる強さで引き連れて行く。
思わず離れたあたしは、苦笑いの奏斗の隣に移動。
「やめろ、バカっ!
そんな引っ張ったら……うっ」
「ちょっと我慢して歩いてください。
風音さんを怒らせると作業が難航します」
廊下に響き渡る2つの声。
………あんな力強い牡丹、初めて見たかも。
ひょっとしたら、今まで隠してただけで実際はめっちゃ強いとか?
あのコ、弓道の天才だし。
「オレらも腕組んでく?」
「風音に殺されても知らないよ」
冷たく言い放つと、一瞬奏斗が凍りつく。
「やべー、オレいつか殺されそうな気がしてきた」
悪い予感を察したのか、不自然にあたしと中途半端に距離を開いた。
いったい風音、あなたはどれだけ怖い人なの?
先輩ビビらせてるとか、クロネの実態が底知れないよ。


