どうしたんだろう。
首を傾げて訴えるものの、返答はまったくない。
かと思えば奏斗のほうへ近寄って
「ゆずゆちゃん、寿羅さんのことが好きなんですか?」
意味のわからない質問を。
「あー、あれは寿羅が逃げるからゆゆが抱きついてるってだけな」
「じゃあ、ゆずゆちゃんは寿羅さんから嫌われて───」
「聞こえてますけどー!?」
コソコソ話すなら、きっちりコソコソしろ。
あたしにまで声が届くって、おまえらわざとか?
嫌われてるとか言いかけやがって、これはいじめか?
「でもよー、やっぱそれ誤解されるって。
今だって牡丹が誤解したわけじゃん?」
あの、奏斗くん?
眉間にシワ寄ってますけど。
上げた前髪のせいで、バッチリわかっちゃうんですけど。
「そうなんですよね。
誤解は避けたいですし、私たちのためにも」
私たちのため?
あたしが誤解されると何か不都合でも?
「さすがに今回は風音が暴走しかねないな」
しまった、風音の存在忘れてた。
さっきまで覚えてたんだけど。
そっか、このまま部室に入って風音に誤解されたら大変だもんね。
でも、あたしが放したら寿羅は絶対逃げると思うしなぁ。
「あ、でしたら、こうするのはどうですか?」


