合掌して目を閉じて、祈りを捧げる先には牡丹。
天然パワーでなんとかしてくれないかな。
そんで風音、そんな大声で言わなくていいから。
しかも
「もう帰るの!?」
「うん、寄り道するから早く帰ろ?」
寄り道とか、牡丹なんとかしてくれよマジで。
あたしは長時間このコのおもりをするつもりはないんだ。
「良かったですね風音さん、ゆずゆちゃんと放課後デートできて」
「うん、すっごく嬉しい」
あたしはすっごく嬉しくない。
とゆーか、女神様に見立てて拝んだのに軽々しく見捨てたな!?
「あれ、ゆずゆちゃん?
周りがメラメラしてますよ?」
「むぅーっ」
唸って牡丹へと怒りの念を送る。
しかし、おそらく牡丹は怒りだとは気づいていない。
………鈍い。
「みんなバイバーイ」
メンバーに手を振り、唸るあたしの腕を無理矢理引っ張って風音は教室を出ようとする。
「放せ風音」
「ヤダぁ、もう帰ろうよぉ」
「ぬぁっ」
思いの外強いなこいつ。
抵抗を試みたが、逆に力いっぱい連れてかれて。
あたし、風音に誘拐されます!
憐れみの視線を存分に浴びつつ、仕方なく帰路についた。


