紫と聞けば思い出す。
思い出したくない菊の花を。
「ゆずゆちゃん、大丈夫ですか?」
様子を窺うように、自然と下がったあたしの顔を覗き込んでくる。
「大丈夫だよ。
ありがと、牡丹」
口元に笑みを浮かべて答えると、今度はポンと頭の上に手のひらが乗っけられた。
「あんま無茶すんなよ」
「奏斗に言われると、無性に腹が立つんだけど」
その髪、むしり取ってやろうか。
「オレは心配して言ってるだけで」
「いらないよ、心配とか不要」
「なっ…いらない、だと?」
眉間にシワを刻み込んで、さっきの言葉の否定を求めてくる。
あたしって心配されるほど弱く見えるかな?
そんなこと、ないと思うんだけどな。
「紅珠沙、かぁ。
あたしたちにどうしろって言いたいんだか」
「おいゆゆ、シカトすんなっての」
あぁシカトね、気のせい気のせい。
それは奏斗の被害妄想だよ。
あたしには無関係。
「このメールのこと、風音に伝えるべきなのか?」
たった今寿羅とじゃれてる彼に、伝えなきゃダメ?
「寿羅さんを巻き込むわけにはいきませんし、風音さんには後日伝えるのが良いかと」
そうですよね、うん。


