「早紅は大人だね。私なんてこういう場所は初めてだよ。」




「まあ、大人かどうかは分からないけど、結構昔はスレてたからね。悪そうなやつともつるんでたし。音楽に出会えたのはこんなあたしにとって幸せなことだったよ。今のバンドメンバーもそうだし、いろんな人と巡り会えた。なにより歌ってるときが一番幸せ。全て忘れさせてくれるの。辛かったことも・・・。」




そう言って早紅はジンライムを飲み干す。




早紅の目の奥に、何か人には言い知れぬ事情を美香は感じた。