ある夜、美香はとある渋谷のライブハウスに行った。




ビルの地下一階の薄暗い階段をゆっくり下っていった。




カウンターで受け付けを済ませ、重たい扉を開けると、そこには、美香の学校の教室くらいの大きさのホールにところ狭しと、若い男女がリズムに合わせて身体を揺らしていた。




中には歌を一緒に口ずさんでいる人も。




ホールの一番奥、ステージの上に、激しく鳴り響く楽器音の中、アンバーのライトに照らされた美しい少女が、スタンドマイクに身をもたれながら気高く歌っていた。





曲のサビ頭でフロントライトが早紅の姿を映し出した。




この会場全体のエキサイティングな空気を作り上げる早紅たちのバンドは目の前にいる多くの人々を魅了した。