美香は自分の家に着いた。





部屋の中からお経を唱えている声が聞こえてきた。






喪服に身を包んでいるたくさんの人が涙をながしている。






部屋の奥に行くと揺らめくろうそくの灯に照らされて、囲まれた菊の花に年老いた女性が一人横たわっていた。






美香はこの状況が現実か夢なのかはっきりできずにいた。





ただ彼女は溢れ出る涙を止められず、その場に立ちすくんでいるしかできなかった。





目の前で冷たく静かに眠り続ける人が、唯一彼女を子供のときから守り、彼女の一番の理解者であるおばあちゃんだった。