授業が始まってからも俺はさっき梨音から奪った紙を全て見ていた。






毎日毎日、こんなのが下駄箱に入ってるわけ?








小さく心の中でため息を漏らす。







「……る…輝っ」









突然、小さな声で名前を呼ばれた気がしてキョロキョロと教室を見渡すと







「…俺、俺。」









と高原が小さな声で言いながら、いきなり窓の外を指差す。










“窓の外”









ジェスチャーをしながら俺に口パクで告げるとニヤリと笑った。









高原に言われた通り、窓の外を見ると反対側の校舎の教室がちらり、と見える。









なにだろう、と思った瞬間、反対側の校舎の教室の中で授業を受ける、梨音が見えた。