手首をつかんだまま、軽く壁に押さえ付ける。








なんですか、とそういって梨音は俺を見る。









黙って俺は顔を近付けると梨音はぎゅ、と目をつぶった。









その隙に梨音がさっき隠した紙をそっと奪う。







一枚だけじゃない、こんなにたくさん……?







クシャクシャに丸められた紙を一枚開いてみると、目を疑った。








こんな酷いこと…誰が…?








そしてそれを、自分のポケットの中に全部入れてさらに梨音ポケットから携帯を取り出す。








勝手に俺のを電話帳のフォルダにいれてパタン、と携帯を閉じて目を開けた梨音に返却する。









「…何かあったら連絡して。」









ぽん、と頭を撫でて俺は先に一人で空き教室を出た。