「…どうしてたんぽぽ組なんですか?」

一通りの経緯を(主にマツモトに)話した後、わたしは聞いた。
マツモトはニコニコと笑いながら、

「キムラメグミって、どう書くか分かるかしら?」

「ええと…」

ホワイトボードの前に立たされ、右手には水性のマジック。

キムラ…は木村?

メグミ、は恵だろうか。

「違えよ」

すぐ後ろで、声がして思わず固まった。
右手からマジックが抜かれ、男らしく大きくて武骨な手が線を引いた。

季村蒲弘箕

と綺麗に書かれた文字を見て、

「絶対読めないから」

とマツモト。

「当て字じゃん?」

とサギノミヤ。

「俺が付けたんじゃない」

ムッとした様な声をあげ、季村がわたしの手にマジックを落とす。