保健室。

ピンセットで脱脂綿を消毒液に浸し、私の顔の傷を撫でる。
すごく痛くて、顔を顰めていたら、サギノミヤに笑われた。

「…なんで、助けてくれたんですか」

治療が一通り終わった時、聞いた。

「いや、助けなかったら殺されそうだったし」

飴の棒を弄びながら、サギノミヤが笑う。

「あ、てかひゃくえーーーー」

「ジュース奢って」

「…はい」

ふ、とサギノミヤが笑った。

あたしは照れくさくなって顔を下げた。

「…で、お名前は?」

「…N12、樺野理加、です」