「遊園地に行きませんか?」
朝。
乗車率100%近いバスの中、雪城さんは笑顔でそう言った。
「遊園地?」
この時期の遊園地はクリスマス一色。
人ごみにもまれて散々な展開しか想像できない。
クリスマスイヴや当日じゃないだけマシかも……。
「う……うん、いいよ」
「一瞬回答に迷いませんでしたか?」
しまった。
森じゃないが、僕も感情がストレートに出る。
というか、隠すのが下手。
「いやあ、混むだろうなって……」
思ったことを正直に話す。
「人ごみなんて気にしていたら、この時期どこにも遊びに行けませんよ」
確かにその通りだ。
「あんまりインドア過ぎるのもよくないです」
「この時期はいつも猫とこたつで丸くなってるよ」
「不健康ですよー」
やっほー、と叫ぶような口に手を添えたポーズで、雪城さんが注意する。
「いやいやいや……みかんでビタミンCを摂ってるから大丈夫」
「ビタミンC?ビタミンCはレモンじゃないんですか?」
ああ、そうだっけ?
「じゃあこたつにレモンを置いて……って合わないよ!」
「ですよねー」
いつの間にか雪城さんとふざけあいができるようになっている。
不思議なものだ。



