バスの中、二人は並んで座る。
人が多いから、必然的にこうなるわけだけど。
距離が近い。
「……藤沢さん」
「ん?……何?」
バスの中では良く話すが、改まってなんだろう。
「今度、どこか遊びに行きませんか?」
へえ、遊びに。
いいなあ。
……。
「……部活で?」
「あ、いや……その……」
雪城さんは言葉に詰まる。
つまり……二人きり、ですか?
「ははは、うん。……どういう風の吹き回しかな?」
「そういうわけじゃなくて」
雪城さんは困っているようだった。
……いつまでもとぼけているようじゃ、僕もダメだね。
「いいよ」
ぱあっと雪城さんの顔が明るくなる。
そんな雪城さんを見ていると、嬉しくなる。
でも僕は、こうやって異性と遊びに行くなんて初めてだ。
大丈夫だろうか。
まあ大丈夫だろう。
「……どこに行きましょう?」
どこがいいだろう?
「雪城さんが決めてくれればいいよ」
そうですね、と雪城さんが嬉々としている。
僕なんかでよかったのだろうか?
「何時がよろしいですか?」
「そうだね。……今週の土曜日なんてどうかな」
「はい。それまでに場所とか考えておきますね」
今週の土曜……楽しみだな。



