ところで、
「雪城さんは、どうしてパソコン部に入ろうと思ったの?」
パソコン部部長がする質問だから、ちょっと真面目な内容かもしれない。
「えっと……やっぱり、使えたほうがいいかなって」
まあそうだろう。
学校の授業にも取り入れられるほど、これからはパソコンの時代だからね。
そういえば、雪城さんは何部にいたんだろう?
一年のときは強制入部だから、きっとどこかの部活に所属していたはずだ。
「雪城さんは何部だったの?」
それは何気ない質問。
だが。
「……」
彼女は黙ってしまった。
何かまずかっただろうか?
僕にはその理由がわからなかった。
もしかしたら聞いたことを謝ったほうがいいかもしれないとさえ思えてきた。
「その」
彼女が弱弱しく口を開く。
「……弓道部です」
弓道部。
普通に考えればマニアックな部活動かもしれないが、うちの学校は弓道部が強い。
それで推薦も取っているらしい。
彼女もその強豪の一員だったとは。
「へえ……知らなかった。すごいね」
「そんなに……すごくないですよ」
彼女はそう言って、少しうつむいた。
「……知られてなかったんです、から」
彼女の横顔は、やっぱり眼帯で目が隠れて、表情が読みにくかった。
ただ彼女は、泣いているようにも見えた。



