キミを待っている



「あ、何か出てきました」

画面には『ユーザー名とパスワードを入力してください』と表示されている。

「ユーザー名とパスワード。今のところ雪城さんのはこれ」

さっきの細長い紙を見せる。

「これをこのまま打ち込めばいいんですか?」

「うん」

彼女はたどたどしい手つきでポインタをあわせ、マウスをクリックする。

フォーカスが移る……っとその単語はテストに出ていなかった。

そして、彼女はキーボードを打つ。

一文字打つたび、頭を上げたり下げたり忙しい。

僕も昔はこうだったなあ。



やがて、すべての文字が打ち終わり、『認証』と表示されたボタンをクリックする。

表示が消え、起動が進む。

「通りました」

「うん、よかったね」

今までから見るとかなりはしゃいでいたので思わず『よかったね』と言ってしまったが、それを聞いて彼女は赤面し、大人しくなった。

見ているとなんだか初々しくて、僕は楽しい。

「えと……これで……」

これからの操作は……。

「これで、しばらく待っていればいいよ」

彼女はそれほど慣れていないのだろう。

とりあえずしばらく見ておこう。

……こうやって、人に教えていくのも楽しのかもしれない。