相手は怖い位に動かない
そういえばさっきの個人戦もそうだった


こんな人は初めて


竹刀で手元を押さえても
下から押さえても
ピクリともしない


完全に見切られてるんだろうか…


苛々しながら相手の面金の中からこちらを見る目を睨んでいた


しかし目を合わせたとき一瞬手元が緩み間合いを詰めすぎた様で




気付いた時には





強烈な面を喰らった!




咄嗟に頭を右に倒し
一本を取られずに済んだが
彼女の放った重い面は
私の左耳を直撃し
物凄い激痛が走った




片手を挙げ審判にアピールする
しばし耳を押さえ"キーン"と鳴ってる痛みが少し引くのを待つ


マズイ………
音が聞こえない


主審に
"続ける事ができるか"
確認された


ーーーーーーーーーー"はい"



やるしかない

全員で繋げたこの試合
大将戦で勝つ事ができれば
二本が無理なら一本で代決に持ち込む



動かない相手を誘うしかない

どうしたらいい?

時間が足りない





次の瞬間相手の左足が軽く浮いたのが目の端で捕らえた


それと同時に握りを僅かに変えた


来る!!
さっきの面ときっと同じ
ならば…