--カンカン
------パンパーーン----

鳴り響く竹刀の音

私と葛西は打ち込みをする
踏み込みが気になりさっきから、コーチに指導を受けていた

葛西はコテを打った時頭を下げてしまう癖があって注意を受けている

いざ勝負という今頃になって急に色々気になりだして体育館の空気に飲み込まれそうになっていた



----「連絡します」-----

本部席より担当者がマイクを持って話しだすと、一斉に選手は竹刀を下ろし着座した

シーンとなる場内

「9:20より監督会議を行います。第1会議室にお集まりください。なお、9:50分迄稽古と致します。10時より開会式を始めますので各学校は指定の場所に集まり入場に備えてください。以上です。」

全員が正面に座礼を行い一斉に稽古が始まる
礼儀を重んじる武道ならではの振る舞い

他のスポーツには無い選手の態度にはよく知人から驚かれる
こういう所は凄く格好良いと思う

立ち上がり回りを見ると隆文さんと目があった
凛とした立ち姿で優しく微笑む隆文さんに思わず顔が熱くなった

面を被っていて良かった

私は軽く会釈した

その笑顔に一瞬心が奪われた事…省吾さんには内緒にしなきゃ