「なんか…私達、織姫と彦星みたいだね…」 去年の夏、彼女が別れ際にポツリと彼に呟いた言葉。彼はその言葉を聞いた時、何も答えることができなかった。それはきっと今でも。

今年も夏が来る。この一年間、メールと電話だけで繋がってきた二人が会うことが出来る、特別な季節。
2年前、自分の可能性に賭けたくて高校卒業と同時に彼は都会で生きていくことを決めた。残させることになった彼女は彼を止めるどころか笑って見送った。ただ、最後の駅のホームで見た彼女の堪えきれず流れた涙は今も覚えている。