「自由にしていいよ」

 「じゃあ帰る」

 「戻れないよ」

 「どうしろと」

 「そうだね。簡単なレクチャーをしよう。何度も言っているけれど、君には世界を作ってもらう。君が望めば宇宙ができ、太陽ができ、地球ができる」

 「じゃあレオナルド・ディカプリオを100人出す。それ、でろ」


私はレオナルド・ディカプリオが100人犇めくさまを想像した。

タイタニック号の先頭に100人が並んで、複雑な重みに耐えきれず氷山にぶつかる前に沈みゆくさまを想像した。

何も起こらなかった。


 「ほら。でないじゃん。嘘つき」

 「順序と言うのがある」

 「昔学校とかで言われたことがある」

 「ディカプリオを生み出すにはまずその両親を作らなければならない。その両親を作るには、さらにその両親。広げるなら社会。さらに言うなら文明。文明を根付かせるための大地。星。宇宙」

 「スケールぱねえ」

 「そういうものを君に任せたいのだ」

 「やれやれ」


と私は言った。


 「何事も最初が肝心。学校で習わなかった?」

 「それは昨日親に言われた気がする」


やれやれ。

なんなんだこれは。テレビのドッキリか? やれやれ。