「元気出しなさい。顔を上げて、笑っていたら可愛いんたから。ほら、笑って。笑ったら、元気出るわよ」
伯母の澄んだ目には逆らえない。ルートは、ちょっと笑った。
伯母は、その小さな顔を両手で包み込む。

「ほら、可愛い。今度は家に帰って、夕飯のお手伝いしなさい。それからお腹いっぱい食べて、お風呂入って、ぐっすり寝るの。目が覚めたら、元気いっぱいよ」

そして、ルートの背を叩く。

「さぁ」

ルートは駆け出しながら、伯母に「またね」と声をかけた。
伯母は、ルートの潮でごわごわになった髪を見ながら、それに応える。

ルートの足は速く、背中はあっという間に小さくなった。

伯母は、その後ろ姿を見つめて、今度は隠すことなく溜め息をついた。

「ルナルナに見つからないといいけど」

そして、重い足取りでルートとは反対の方向にあるいていった。