「ルート。どこに行っていたの。」

ルートは、この日に焼けた伯母が大好きだった。
化粧っけがなく、髪は簡単にたばねただけで、お人好しで、本当に田舎のおばちゃん、そのままだ。

でも真っ黒な透き通った目をしていて、それを見たら視線が逸らせない。

「海に泳ぎに行っていたの」
「こっちに来てから、毎日じゃないの」
「暑いんだもの。他にすることもないし」

伯母は、小さく笑った。
ルートが甘えるように「なぁに」と聞くと、首を振る。

「いやね、まるっきり地元の子の言い方だから」
「前から、泳ぐの好きだったから。でも、プールより海のほうが面白い。塩辛いけど」
「良かった。もう、一緒に泳ぐ仲間は見つけたかい?」


「…うん」


ルートは、目を伏せた。
伯母の目が、見られなかった。