ルートが部屋へ行こうとすると、姉もソファから起き上がって、ついてきた。
後ろで母が何か言っているのは、二人とも聞こえないふりだ。

「伯母さん、心配していた」

シャワーの後で着替える寝巻を探すルートの後ろで、姉が呟いた。

姉はルートより五つ年上で、でも、実際の年齢よりも大人びている。
少しだけ、ルートは姉の冷静な口調が嫌いだ。

「そう」

今も、それしかルートは言うことを思いつかなかった。
寝巻と下着を抱えて、姉の横を通り過ぎる。

「心配することなんか、ないのに」

小さい声で付け加えるのが、やっとだった。