翌日、見事シワだらけになった制服を身に纏いながら登校をする。
んぅ…中途半端な寝方したから眠いよぉ…。
目を擦りながら学校へと歩いていく。
しかし眠さに気をとられていてあたしは前方をまったく気にしていなかった。
「…っぶね」
腕を掴まれたかと思うとグイッと後ろに引っ張られ微かな衝撃と暖かな温もりに包まれた。
ふぇ?
理解するのに時間を要した。
背中から伝わってくる温もりから抱きしめられてるっていう事実を理解して。
そのあとに仄かに香った香水の匂いに依智だと理解した。
えっ…と?
何がどうなって抱きしめられてるんだろう?
アワアワとしながら上を向くと依智が呆れた顔をしながらあたしを見下ろしていた。
え…何故呆れられているんでしょうか?
疑問を浮かべているあたしにさらなる追い撃ちをかけるかのようにため息をついた。
………結構傷つくんですけど。
「前、見てねぇだろ?」
素直に頷くとまたため息。
えー…なんで?という顔をすれば『前』と言われた。
前を見ると電柱。
なるほど、ね。
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